
初めてアラスカの地に立った。
これがウィルダネスと呼ばれる自然なのか。
スケールが大きすぎて自分が本当にここにいる実感が湧いてこない。
地球を頭に思い浮かべ、この人里離れた土地にポツンといることを想像する。
すると少しずつ鼓動を感じ、胸が高鳴っていることに気づいた。
自分はここにいる。
そのように感じ始めると周囲の景色がしっかりと目に入るようになった。
どこまでも続く谷、その中を流れる川。
そのどこにも人が作ったようなものは見えない。川があれば橋があり、これだけ見渡せればどこかに人工物がある日本の自然とは違うものだった。
ここでは風さえも違う。
夏の暖かさに慣れた体は、北極海から吹く冷たい風に耐えることができない。
体は芯から冷え切り、直接当たる顔は痛い。
夏が訪れるのだろうが、ここは北極圏だ。
少しも寒さに耐えられず、テントへと戻った。
圧倒的なスケールの自然の中にいる。
だが想像と違い、生き物の気配はしない。
本当に動物がここにいるのか。
そしてカリブーの大群はここを通るのだろうか。
人間、生き物すら感じない。
妻と一緒にいるのにも関わらず、私は何か生き物として孤独を感じているようだった。
今ここには自分しかいない。
誰からも意識されないこの土地を写真に残し、人と共有する。
それが写真家として私がやらなければいけないことだと感じた。
フィールで感じたことや自然の中で考えたことは、講演という形でもお話ししています。
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